窒素ガス充填とは?普通の空気よりタイヤが長持ちする本当の科学的理由
こんにちは!小山市のクレスコタイヤサービスです。
窒素ガス充填とは?
タイヤ専門店やカー用品店でタイヤ交換をお願いした際、「タイヤの中に入れる空気を、普通の空気ではなく『窒素ガス』にしませんか?」と数百円から数千円の追加オプションとして勧められることがあります。
文字通り、通常のコンプレッサーで作った空気の代わりに、純度99%以上の窒素ガスをタイヤの内部に充填するサービスのことです。実は航空機のタイヤやF1レーシングカーのタイヤには、ほぼ必ず窒素ガスが使われています。
しかし、「普通の空気にも78%は窒素が含まれているのに、わざわざお金を払ってまで100%の窒素ガスを入れる意味はあるの?」と疑問に思うかもしれません。結論から言うと、安全面とメンテナンスの手間を減らす一定のメリットがあります。
なぜ普通の空気ではなく「窒素ガス」が良いのか?(3つのメリット)
メリット1:空気が「自然に抜けにくくなる」
タイヤのゴムは風船のようなもので、目には見えないミクロの隙間が無数に空いています。そのため、何もしなくても中にいれた空気は1ヶ月で約5%ほど自然に抜けてしまいます(これを自然空気漏れと呼びます)。
普通の空気に約21%含まれている「酸素の分子」はサイズが小さいため、ゴムの隙間をすり抜けてどんどん外へ逃げ出してしまいます。 しかし、「窒素の分子」は酸素よりもサイズが大きく動きが鈍いため、ゴムの網の目(隙間)を通り抜けにくく、長期間タイヤの中に留まってくれます。
つまり、窒素ガスを入れると「空気圧が減りにくくなり、こまめな補充の手間が減り、常に適正な空気圧を保つことができる」というアドバンテージが得られます。
メリット2:タイヤの内部が「錆びない・劣化しない」
普通の空気には、必ず「水分(湿気)」と「酸素」が含まれています。 この水分と酸素が合わさった空気をタイヤの中にパンパンに詰め込むと、長期間かけてタイヤの内部にある鉄の骨組み(スチールワイヤー)や、アルミホイールを内側から「サビ」させて痛めてしまう原因になります。
純度の高い窒素ガスには「水分(湿気)」も「酸素(酸化の原因)」もほとんど含まれていません。 そのため、タイヤやホイールの内側が錆びたりゴムが劣化したりするのを防ぐ効果があります。
メリット3:気温の変化で「空気の量が大きく変わらない」
普通の空気(特に水分を含んだ空気)は、外の気温が上がったり、高速道路を走ってタイヤが熱くなったりすると大きく膨張してパンパンになり、逆に冬場に冷えると縮んでペシャンコになりやすい性質があります。
水分を含まない窒素ガスは「温度の変化に影響を受けにくく(膨張率が低い)、常に一定の張りを保ちやすい」という特徴があります。航空機が上空の極寒と着陸時の灼熱の摩擦に耐えるために窒素ガスを採用しているのもこの効果を狙っての事です。
窒素ガスを入れた場合の注意点
窒素ガスを入れても、絶対に空気が抜けないわけではありません。抜け「にくくなる」だけですので、やはり定期的な空気圧のチェックは必要です。
また、窒素ガスが入っているタイヤの圧力が減ってきた際にガソリンスタンド等で「普通の空気」を継ぎ足して補充してしまうと、せっかくの窒素ガスの純度が下がってしまい(水分や酸素が混ざってしまうため)、上記のメリットが失われてしまいます。
一度窒素ガスを入れたら、その後の補充や点検の際も、窒素ガスを取り扱っているお店で行うのが原則となります。いつでもどこでも手軽に空気を補充できるわけではなくなる、という点が最大のデメリットと言えるでしょう。
まとめ:最も大切なのは「こまめな点検」
- 窒素ガスは分子が大きいためゴムの隙間を抜けにくく、空気圧が長期間減りにくい
- 水分や酸素を含まないため、タイヤやホイールの内部のサビや劣化を防ぐ
- ただし、補充する場所(お店)が限られるというデメリットがある
窒素ガス充填には確かに科学的なメリットが存在します。 しかし、最も重要なのは「窒素ガスか普通の空気か」という中身の違いではなく、「月に1度は空気圧の点検を行う」という基本的なメンテナンスの習慣です。どれだけ良いガスを入れても、点検を怠ればやがて空気は抜け、タイヤは偏摩耗してしまいます。
クレスコタイヤサービスでは、窒素ガスの充填に頼るのではなく、「通常の空気によるこまめな点検」を推奨しており、現在窒素ガスの充填サービスは行っておりません。通常の空気であっても、こまめに適正値を保っていればタイヤの寿命を安全に全うさせることができます。
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